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「そんなバカな。私より若く見えるなんて」
「それも仕方ありませんね。今のあなたさまは…ちょっと」
「ちょっと…ってなによ。はっきり言いなさいよ」
「では遠慮なく。顔を近づけてください」
王妃が一歩近づくと、鏡に自分の顔がどアップで映し出されます。
「えっ!これが私?」
「はい。目の下にクマ。眉間に消えない縦じわ。カサついた肌にひび割れた唇。艶のない乱れた髪。そして何より目立つのは、頬と顎の大人ニキビですな」
「ええっ?!ニキビですって?!そんなのできたことないわよ」
「ですから大人ニキビです。不摂生な生活が原因ですな。寝不足とビタミン不足、甘いものとカロリーの過剰摂取、ストレスが原因かと」
王妃はわなわなと震える手で指摘されたニキビに指を這わせた。
「一体いつの間にこんなものが?」
「いつもメイクでごまかしていたのでしょう。化粧係を叱ってはいけませんよ。言わないのは彼女たちのマナーです」
「そんな。じゃあ、この醜い体も?」
「お母様、醜くなんてないわ。少しふくよかになっただけよ。でも新調されたドレスがどんどん大きくなっていたことに気づかなかったの?」
なんてことでしょう。メイクも衣装も小間使い任せの王妃は、変化した肌や体形に全く気付かなかったのです。
「10年前までは、私が1位だったのね」
「その通りです。あの方は再びこの場所を取り戻し、あなたに見せつけたかったのでしょう」
「では、今の私は何番目に美しいのかしら?」
鏡は一瞬のためらいを見せた後、言いました。
「私を割らないと約束してください」
「そんな下?!」
「いえいえ、そのような。(小声で)11番目です」
まさかのベスト10圏外!!
一瞬くらっときたものの、気を取り直して王妃は言いました。
「わかりました。鏡よ。私はその場所を取り返します。あんな人には負けないから!もちろん整形なんてしないわよ。私は私の美しさを取り戻す。そしてお前をあの人に送り返してやるわ!」
こうして王妃様の美しさを取り戻すチャレンジが始まったのです。
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