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大人ニキビにはとにかくストレスがよくないと聞き、生活習慣を見直すことにしました。
週に2回あったママ友ランチ会を隔週1回にして、週1回だった貴族婦人会アフタヌーンティーは月に1度に。アップルパイはやめて、低カロリーの焼リンゴを持参することにしました。
朝は朝食前に子供たちと庭園を散歩して、ランチの後は社交ダンスのお稽古を。
夜はアロマオイルを入れたバスタブでリラックスしてから、長椅子で全身マッサージを受けました。髪や爪のお手入れもしてもらい、王妃のボディは日に日に輝きを取り戻していきました。
今までは必要最低限の会話しかしていなかった小間使いたちでしたが、みんなが先を争うように王妃のケアをするうちに、すっかり仲良くなりました。
「王妃様はなんでも一人で抱えておしまいにならないで。私たちに仕事をさせてください」
心地よいマッサージを受けながら小間使いのリーダーにそう言われて、王妃も納得したようです。
「そうね。私は子供の時に母がいなくて寂しかったから、子供たちといつも一緒にいて、何でもしてあげたかったの。でもいつの間にか子供しか見ていなかったのね。王様が帰ってこなくなったのは私の責任だわ」
「王妃様、もう大丈夫ですよ。王様が見たらきっと驚いて…」
「いいえ。王様にお会いする前に、あの鏡よ。綺麗になったって言わせてやるんだから」
10日後、王妃様は少し締まった体に豪華な衣装を纏い、髪も見事に結い上げて鏡の前に立ちました。
「鏡よ鏡、世界で一番美しいのはだぁれ?」
鏡は答えます。
「世界で一番美しいのは、隣の国のおきさきさまです」
「ぐっ!…そうなの、わかったわ。では私は今上から何番目かしら?」
「王妃様は世界で9番目にお美しい」
「9位!!…いいわ。ベストテン入りは果たしたのね」
「はい。おめでとうございます」
「その言葉はまだ言わないで。1位を取るまで取っておいてちょうだい」
王妃は鏡にそう言い残すと、ドレスの裾を翻して立ち去りました。
それからは毎日公務をこなしながら、小間使いの手も借りて美しさに磨きをかけていきました。
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