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ひと月後、再び鏡の前に立ちました。
「おや。立ち姿がすっきりしてきましたね」
「そうでしょうとも。ダンスも上手になったのよ。さぁ教えて頂戴。私は今世界で何番目に美しいの?」
「王妃様。あなたは世界で7番目に美しい」
それを聞いて、後ろで控えていた小間使いたちが一斉に拍手をします。
「神セブン入りです!王妃様」
「おめでとうございます!!」
「いいえ。まだよ。神セブンですって?ねぇ、教えて頂戴。王様の元カノは何番目なの?」
「あぁ、王妃様、やはり気にされていたんですね」
小間使いのリーダーが言うのを横目で見ながら「いえ、べつに」と取り繕う王妃でしたが、鏡ははっきりと答えます。
「〇〇国の姫君ですね」鏡面が揺らぐのを見て
「あ、映さなくていいわ。何番目かだけ教えてくれれば」
王妃が慌てて止めると、一歩前に出た小間使いたちからため息がもれました。
「ちょっと、みんななんで残念そうなのよ。見ない方がいいのよ。さぁ、どうなの?」
「2番目です」
「おおーっ」
今度は一斉に称えるような声が漏れて「これっ」とリーダーの注意が聞こえます。
「2・番・目」
まさかの2位。あの人の次に美しい。そりゃ若いし?金髪巻き毛だし?絶賛婚活中で磨き上げられているはずだし?ぶつぶつと独り言が止まらない王妃に、リーダーが言いました。
「王妃様。まだあとふた月ございます」
「え?ふた月って?」
「お二人の結婚10周年の舞踏会ですわ」
「あっ!そういえば」
「そうですよ。近隣諸国からお客様もたくさんいらっしゃいます」
「それまでにもっと美しくなりましょう」
「元カノなんかに負けませんよ」
「必ず1位を取りましょう!!」
あら?私が戦っていたのは継母だったはずだけど。戸惑う王妃よりも先に、どうやら小間使いたちのやる気に火がついたようです。
翌日からは食事のメニューも徹底して、バランス良く、ベジタブルファーストで頂くなど、栄養士を招いて指導を受けました。
舞踏会で披露するダンスもプロのダンサーを呼び、体力を付けるための筋トレも始めました。子供たちも体操をしたりダンスをしたりと、一緒に楽しんでいます。
いつの間にか乾燥していた肌には艶玉が浮かび、大人ニキビは消滅していました。
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