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「つまんない考えだって。安直だよ、本当。
でも、そうしたいって思ったんだ。
隕石群が地球の半分に降り注ぐとか、
映画みたいなニュースが現実だってわかった時、
終わる前にそうしたいって思ったんだ。
…最後なんだよ。本当に最後なんだ。
俺を好きになってとは言わないから、だから」
一華の瞳が正面から颯太を捉える。
何も変わらぬかのような街の灯りが、
スカートにわずかな日の出色を取り戻させる。
頭上をまた星の軌跡が通りすぎた。
「こうして俺を誘った理由に、
最後が一緒でもいいって気持ちが入ってるなら、
頷いてよ」
一際鮮やかな流星が紺碧の空を切り裂いた。
白い光を次第に赤くし、
淡い火花を咲かせ始める景色の下、
二人は闇に溶けた互いの顔を見つめ合う。
「……わかった」
やがて、一華が呟くように言った。
一度眼を伏せ、すぐに上げて、
自分だけを見る颯太の瞳を覗き込む。
そして、口を開いた。
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