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 俺はいつもパンツ一枚で寝ている。最近よく眠れないのでスマホで快眠する方法をググったら身体を締め付けないほうが眠れると出てきたからだ。その他にもホットミルクを飲んだほうがいいとか、ブルーライトを見ないほうがいいと書いてあったが、これが一番楽なように思われた。  今は6月だパンツ一枚で寝ても布団を掛ければ寒くない。  そんなある日の朝、起きたら誰かが俺を呼んでいる声がした。高い声、きっと若い女の人の声だ。外から聞こえて来ているのだと思っていたが近くでくぐもって聞こえる。 「ギギギ、ギギギ、隼人くん、付き合ってよ、キスしてよ」  耳の錯覚だろうか。もしくは一階から聞こえるテレビの音かもしれない。でも名前を知っているのはおかしい。俺の名前は隼人だ。野々村隼人、何故俺の名前を呼ぶんだろう。 「ギギギ、ギギギ、キスして、キスして、抱きしめて」 「誰だ?」  俺は寝ぼけまなこで訊いた。 「ギギギ、ギギギ、キスして、キスして」 「ギギギ、ギギギ、キス、キス、キス、キスして」  きしむような音がしたかと思ったら執拗にキスを迫る声が聞こえてくる。抑揚のない人間じゃないような喋り方。機械が喋っているのか。俺はベッドから飛び起きて周りを見渡した。もちろんのこと部屋には誰もいない。 「ギギギ、ギギギ、キスして、キスして、髪を撫でて。私の髪、キレイでしょう」  俺はブルブルと頭を振って脳を覚醒しようとした。そうだ。夢で黒髪を長くしている女の人に迫られた記憶がある。だから、こんな幻聴を錯覚して聞いてしまったんだな。そう思っていたら白い影がドアの隙間から入って来た。なんだ?俺は目を凝らす。髪の長い白いワンピースの女の人が肩をあげて手を前に突き出しながら部屋に入ってきたのが分かった。
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