5人が本棚に入れています
本棚に追加
璃音は翌日、会社の屋上に美奈人を呼び出し、昨日の告白について話を聞くことにした。
「お前、貴美をフッたってマジか?」
「ああ、マジだよ」
「あいつ、優しいし、いいやつだぞ」
「いやぁ…… 本当に友達としか見れないし。それに貴美ちゃんの顔がさぁ…… 好みじゃないんだよね。幼馴染のお前に言うのもなんだけど、あの子の顔、たこ焼きじゃね?」
そう、貴美の顔は丸々としており、頬もニキビがびっしり。傍目から見ればたこ焼きのような顔をしていた。その顔であるが幼稚園から社会人になる今まであまり変わっていない。一部の心無い男子や「あの子よりはキレイだから安心」と考える表面だけの付き合いをしている女子の友人達は貴美のことを「たこ焼き顔」と陰口を叩いているのであった。貴美は引っ込み思案な性格であるために「暗い子」とも噂されていた。知らぬは本人ばかり……
「お前、顔で人選ぶのか?」
「顔は第一条件だろ? だから可愛い相手と付き合うだけってよ」
「わかった。一ヶ月待て。一カ月後に貴美をキレイにしてまた告白させる。キレイになった貴美に告白されて断るならもういい」
「意味わかんねえよ。そんなに言うならお前が付き合ってやれよ」
「いや、単なる幼馴染で付き合いが長すぎて、あいつを女として見れねぇんだよ。なによりあいつがお前にのぼせ上がってる。一応さ、幼馴染としてはあいつに幸せになって欲しいし、あいつが本当に好きなやつと一緒になって欲しいかなって」
「それ、好きってことじゃないのか?」
「だから言ってるだろ。家も隣で付き合いが長すぎて、女として見てねぇって。で? チャンスはくれるのか?」
「まぁ、貴美ちゃんがキレイになるんだったら付き合ってもいいと思ってるよ」
「助かる」
最初のコメントを投稿しよう!