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「次は食生活だ。お前の食生活に関して文句を言うつもりはないけど、肉好きだよな？」
「うん、ステーキや焼き肉大好き。食べた後にニキビ出来るけどやめられない」
「少し量を控えろ。さっき言ったようにニキビを潰して出てくる膿や汁って実は脂質だぜ？ 肉とかチョコレートのような脂質たっぷりのものを食べると、その脂質は腸に吸収されて体を巡り回るんだ。その脂質が皮膚に吸収されて皮下脂肪に変わるんだよ」
「なんか、生物学とか医学部の先生みたいだね。りっちゃん」
「いいから聞け。脂肪って冷えると白く固まるだろ？ ラードみたいなもんだ。人間の皮膚には数え切れない程の毛穴があるだろ？ その毛穴を冷えて白く固まった脂肪で閉じて、そこに雑菌が入り込んで赤く腫れて膨らむのがニキビなんだ」
「ニキビって何って質問された時の模範回答だね」
「お前の食べるものにとやかくは言わない。つまりな、ニキビって言うのは毛穴の脂肪が固まらないようにすれば防ぐことが出来るんだ。その脂肪って言うには冷えて固まる肉やチョコレートのような脂肪になるな。逆に冷えても固まらない脂肪って言うのがあるんだけど、分かるか？」
貴美は上を向いて考えた。冷えても固まらない脂肪なんてこの世にあるのだろうか。と、考えているうちに璃音が答えを口に出した。
「サンマやアジとかイワシとかの青魚の油だ。EPA、eicosapentaenoic acid、エイコサペンタエン酸ってやつだ。詳しい説明は省くし、俺は科学の先生じゃねぇからよく知らねぇけど、冷たい水の中を泳ぐ魚の脂質だ。こんな魚の脂肪が冷たい海の中で泳いで固まったら泳げなくなるだろ？ だからEPAってのは毛穴を塞ぐように固まることはないんだ。しかも、便利なことにステーキやチョコレートの脂質と混じっても効果があると来てる」
「ごめん、よくわかんないんだけど。ようは青魚のEPAも一緒に摂取して、脂肪で毛穴を塞がないようにしろってこと？」
璃音はぱちぱちぱちと拍手をした。「よくわかんない」とは言ってるけど、実はわかってるんじゃないか。貴美の理解力に感謝するのであった。
「そう、魚食えってこった。うちの社食の焼き魚定食、美味いぜ？ お前、いつも肉とかパスタに飛びついてるじゃないか」
「うん、わかった…… 魚も食べるようにする」
「も。ってなんだよ…… も。って。まぁいいや。いつも同じものを食べるってのも飽きるから、肉とのバランスも考えるんだな。さすがにそれだけってのも栄養が偏るから野菜スープとかも一緒に飲むといいな。ほら、小学校の給食とかによく出てきた、人参とかキャベツとか玉ねぎとかいっぱい入ってるやつ」
「りっちゃん、好きだったよね」
「ビタミンB2 B6 B12、これらは肌を構成るビタミン。これ全部野菜に入ってるんだぜ？ 勿論、青魚や肉にだって入ってる」
「わかった。食生活も見直してみる」
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