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それから一ヶ月…… 貴美は璃音の言う通りのライフスタイルを心がけた。ニキビを潰さずに優しくクリームを塗り、食生活も好きな肉を控えて青魚中心にし、睡眠時間も夜ふかしをせずにたっぷりとるのだった。
そのおかげか、貴美の顔から徐々に徐々にニキビは消えて、ツルツルスベスベの顔となって行く。その成果は貴美自身も驚くばかりであった。ニキビが消えることでコンプレックスを脱却した貴美は性格も明るく快活なものとなっていく。周りも「貴美さんってこんなにキレイだったっけ?」と噂するほどである。瞬く間に社内でも評判の丸顔美人と評されるようになっていた。
美奈人もそれに気が付かないはずはない。貴美を会社内で見かけた時に思わず口に出てしまった。
「最近、キレイになった?」と。
女性はキレイと言われると嬉しく感じるもの。貴美の心の中は憧れの美奈人に「キレイになった?」と言われたことで天にも登る気持ちだった。だが、ここは一旦じらすために軽口を返す。
「何よぉ、まるで前まではキレイじゃなかったってことじゃない」
「あ、いや、そういう意味じゃなくて」と、美奈人は焦ったような顔を見せる。少し、意地悪しちゃったかなと微笑みながら優しく肩を叩く。
「こんないい女、フるなんて勿体ないことしたよね」
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