小さいおじさんをおいかけて

8/8
前へ
/9ページ
次へ
 空はすっかり明るくなり朝を迎えた。いつの間にか小さいおじさんは消えていた。  私は山が家族よりも大事だとは思わない。しかし、少し父をわかったような気がして嬉しかった。  ベンチから腰をあげ家へと帰る。  その道中、昨日の学校で聞こえた会話を思い出した。 『小さいおじさんを見つけたら幸せになれる』  この不思議な体験を幸せと呼べるかどうかはわからない。  しかし、太陽に照らされた道は、来たときよりもずっと歩きやすかった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加