君は僕の一生の宝物

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麻生(あそう)さん、おかえりなさい!」 家に帰るとバタバタっという足音ともにおかっぱ頭の小さな小さな女の子が出迎えてくるのがいつもの日常。 「ただいま、ひま」 俺の娘の向日葵(ひまわり)。通称ひま。 抱き上げると「へへー」ととろけるくらいに笑う。 「おかえり、(りょう)くん」 「ただいま。茜音(あかね)」 ひまを抱き上げてリビングに入ると、ちょうどご飯を作り終えたようだった茜音がエプロンを外しているところだった。 「淩くん、今日の生放送緊張してたでしょー?」 「そりゃあ、緊張するよ。生放送なんて滅多にないし、慣れてない」 「ふふ、でもカッコよかったよ」 「ありがと。茜音にそう言われるのがやっぱり1番嬉しいや」 俺は舞台俳優をやっていて、近々でる舞台が少女漫画を元にしたもの話題になっていて宣伝のために昼の情報番組に今日はでていたわけ。 「ひまも麻生さんのことかっこいいとおもってるもーん。おかあさんより思ってるもん」 「そうかそうか、ひまありがとう。嬉しいよ」 俺がそう頭を撫でると満足そうに微笑む。 ひまは俺のことを「お父さん」と呼んだことはないことはないけど、あっても1.2度程度。 ひまが出来たとわかって結婚を決めたとき、俺はまだ18歳でちょうど人気が出てきた頃だった。 結婚、しかも子供ができたなんて知られては人気が落ちると事務所の判断で結婚の発表はできなかった。 5年たったいまも有難いことに活躍させてもらっていて、いまだに発表はできていない。
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