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「最近ひまちゃんとどこか行った?」
「え?なんでですか?」
事務所に呼ばれるなんの話しだと思ったらそんなことを聞かれ、首を傾げる。
「これ、載るわよ」
「なんです……か!?」
社長が机の上に置いた光景には見覚えがあった。
俺と茜音とひまと3人で買い物に行ったときのもので、久しぶりのお出かけにテンションがあがったひまが「お父さん」と俺のことを呼んだとき。
「まさか……そんなタイミングよく」
カメラマンがいるとか思わなかった。
あまり出かけることをしない俺たちがたまたまでかけて、たまたまひまが俺のことを「お父さん」と呼んだ。
そしたらそこに偶然カメラマンもいましたなんて話なかなかないだろ。
「このカメラマン怪しいと思ってずっと張ってたらしいわよ」
「……っ、マジですか」
そりゃ、注目度もいままでとは雲泥の差だってことくらい分かっていたはずだった。
「否定会見するわよ」
「……否定?」
「うん、自分の子供ではないって言って」
「……っ」
ひまは正真正銘俺の子供なのに、俺はそれを否定しなきゃなんないのか。
俺の活躍を1番期待している社長の言いたいことはわかってる。
俺に目をつけて、役者として育ててくれたのは社長だから頷くことしかできない自分が悔しい。
俺がもっと活躍して、なにも文句言われないくらいにならないとダメなんだ。
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