エピローグ

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エピローグ

「聡もゆめも一瞬にしてお父さんを失うなんて……本当に、一寸先は闇ね……」  告別式を済ませた楓は俯きながらそう呟いた。博は即死。警察の調べによると、事故の原因は寝不足による居眠り運転だということだった。 「おとといの朝のスクランブルエッグ、最後のごはんになっちゃったね。最後だってわかってたら、もっとおいしいものをつくってあげたかったな……」  楓は涙をこらえながら博の遺影にそう声をかける。 「お母さん」  聡が楓の背中に語りかけた。 「僕、お父さんの分まで頑張るよ。だから、お母さんも一緒に頑張ろう?」  楓は振り返り、歯を食いしばって悲しみに耐えている聡を強く抱きしめた。 「うん。そうだね。頑張って生きようね」  楓の瞳から堰を切ったように涙が溢れてきた。その粒は聡の肩を濡らしていった。 「私、頑張る。博さんの分も生きて、きっとこの子達を立派に育て上げてみせるわ!」    楓は自分に言い聞かせるようにそう言うと、立ち上がった。そしてゆめが横たわっているベビーベッドの前へと歩み寄る。 「ゆめ、心配しないでね。私、頑張るから」  楓がそう語った瞬間、ゆめが口を開いた。 「おかあさん」 【終】
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