モドキ

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 若い警官は腕を組み、ふむふむと、したり顔で頷いていた。何もわかっちゃいないくせに……! と思いながら、ベテラン警官は、救急車に運び込まれる「モドキ」を見ていた。 「あいつも身なりからすると、結構いい身分の『モドキ』だったはずなんだがな……まあ、あいつらの考えてる事は、俺達にはわからんさ」  タンカに乗せられた俺は、遠ざかる意識の中で、ついさっきまでの想いを、呪文のように繰り返していた。  俺達は、『モドキ』なんかじゃない! そうだろう? 俺達は……
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