短編集~プリズム 晩夏の夜空に浮かぶもの

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 テレビ番組が終わると、私は一つ息をついた。  正直、あまり得意なジャンルではない。でも、彼はこの番組が好きだから付き合うことが多い。  「前半の奴、すごかったな。でも、やっぱり駄目?」  彼は、私がこのジャンルが苦手だと知っている。  「駄目じゃないけど、あんまり……」  少し困ったように答えると、彼は申し訳なさそうだ。  「ごめん。これから、ああいう番組見ないようにするね」  自分も見たい番組よりも、私を優先させてくれる彼の気持ちが嬉しくて、首を振っていた。  「大丈夫。このくらいなら」  本当だ。それ、を強調した内容なら無理だけど、さっきの番組は、その描写がメインではなかったので大丈夫。
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