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天を見上げると、大きな衛星が望めた。
「いつ、墜ちてくるんでしょう」
疑問に答えてくれる人はいない。横の彼も疲れたように首を振った。
枝だけになった大樹の隙間から、煌めく星空が広がって見える。
「それは、神しか知らないだろうね」
神は、傲慢な私たちに鉄槌を下したのだろうか。
「彼らは逃げられないんでしょうね」
支配者の贅のために、衛星へと送られた彼らに逃れるすべはない。送った者たちは、自分の行いなど完全に忘れているはずだ。溜息が出る。彼も同じようだ。
「ああ、彼らの乗った宇宙船は元々一度きり。自分たちの住まいをもう一度船にはできない。しかも誰も作れない。諦めてるだろう。
自分たちでなければ、なんでも命令できるものだよ、人というものは」
衛星の向こうに見える宇宙は無限なのに、私たちの立てる場所は、どうしてこんなに狭いのだろう。
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