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「本当に一緒に行かなくて良かったんですか?」
支配者たちが、大地を見捨てて逃げるための宇宙船は、彼が造りあげた。彼は、共に来ることを命じられながら、残ることを望んで拒絶した。
「いいんだ。
この大地と一緒に逝きたいんだ。それに……」
ここで、彼は言葉を止めて、星が降ってくるような夜空を見上げた。
「綺麗だな。
衛星は、昔、この星から生まれてる。還ってくるということだろう。その時は星空も墜ちるのかな」
諦めを含む声に、私は微かに震えを感じた。畏れを抱かせる宇宙は、私たちを元の姿に返らせるのだろうか。
「君こそ、自分を乗員から外したじゃないか。彼らと共に出れば、残るよりは助かる確率が高くなったのに」
「同じ答えをお返しします。それに、一緒に行ったとしても、私が生きてる間に、どこかの大地を踏むことは不可能でしょう。
それなら、この大地の上で終わりたいです」
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