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彼は小さく笑うと、二人の間の距離を縮めた。相手の呼吸音も明瞭に聞こえるほどの近さ。
私たちと同じように、この惑星と衛星は少しずつ距離を縮めている。遠くない未来に、一つのほし、となるはずだ。
傲慢の結果なら、私たちは受け入れないとならない。でも……
「星に還るなら、それも本望です。でも、最後まで諦めません。
行きましょう。みんなが待ってますから」
ほんの少ししか残されていない、生きる可能性。おそらく、恐怖を解消する以上の意味はないだろう。
それでも、私たちは最後まであがく。私たちの欠片が、星たちの一部となる日まで。
星がその輝きで存在を教えるように、私たちは最後の一瞬まで、己ができることを行い、自分たちが存在した証を残すのだ。
私たちは、仲間のところへ戻る。星と同じように生命を輝かせるために。
おわり
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