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「おはよう」
「水川さん、おはよう」
もう集合時間になったのだと思ってノートをかばんに戻すと、机を人数分くっつけて話し合いの準備をする。
「そういえばふたりとも少し遅れるかもしれないけど一緒に来るって」
わたしの斜め前に座ると、スマホをいじりながら水川さんがいう。
「そうなんだ」
かべがある。水川さんの言葉が今でもわたしの心の中でくすぶっている。それなら今日でそのかべを壊せばいいよね。沈黙が気まずくて、わたしもノートを取り出して続きを書いていると、足音が部室へ近づいてくる。
「来たかな?」
「そうだね」
水川さんとふたりで、部室のドアを見つめていると、草野さんがドアを開けて中に入ってくる。
「おはよう」
草野さんに挨拶を返すけど、土田さんが見当たらなくて不思議に思っていたら、草野さんに腕を引っ張られて土田さんが部室に入ってくる。
「……おはよう」
「おっ、おはよう」
勢いあまっていすから立ち上がるわたしに遠慮しがちに土田さんがわたしの向かいの席に座ってうつ向いている。わたしの隣に座った草野さんに無言で目線を移すと、わたしを見上げながら草野さんが首を傾けている。ずっとこんな感じだよって無言でわたしに答えてくれているみたいだった。土田さんもこの場にいるのは気まずいと思っているかもしれないのに、勇気をだして来てくれたことがうれしい。気持ちを落ち着かせるように小さく息をはくと、いすに座りながら咳払いをする。
「みんなそろったので学園祭に向けて話し合いを始めます」
一斉にわたしに視線を向けるから少し緊張してきた。それでもいちばん初めてに聞いておけばよかったと後悔した疑問をみんなになげかける。
「これはわたしが個人的に聞きたかったことなんだけど、みんなはどうして演劇を始めたのかなって」
予想外だったのか、みんなが驚いたように目を見開いている。
「あのね……わたしのきっかけはもうみんな知ってるよってくらい勧誘した時に語っちゃったけど、そういえばみんなの理由を聞いてなかったなって」
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