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「確かに監視もできて一石二鳥ですね。あなたを見張ってないと私も心配ですし」
「だっ、大丈夫ですよ。もしかしたらわたしも成長してるかもしれないじゃないですか。だから……」
本当はこんなこと口にもしたくないけど。
「しっ……汐里先輩と……」
本当は嫌だよ!でも好きな人の笑う顔が見れるなら……それだけでうれしいでしょ……本当は嘘。でも……。
「思い出が作れたらいいですね」
「……なぜ汐里の名前が出てくるんですか?前も汐里の名前を出していましたね」
「だって……杏也先輩が……」
その先の言葉をどうしても自分の口からいいたくなくて黙っていると、豪快に杏也先輩がため息をついた。
「まさかとは思いますが、もしかして私が汐里を好きだと勘違いしていませんか?」
「勘違い?」
「その顔はしていましたね」
「えっと……」
「そんなことあるはずないでしょ」
違うの?わたしはずっと杏也先輩が汐里先輩を好きだって勘違いしたまま、悩んで苦しい思いをしてきたっていうの?
「確かに幼なじみですし親しい関係だといえると思います。ですがそれはあくまで気心しれた幼なじみというだけです」
「わたしの勘違いなんて……でも汐里先輩といる時の杏也先輩は楽しそうだし……うれしそうだし。それに汐里先輩はあんなに完ぺきですてきな人なんですよ。みんな好きにもなっちゃいますよ」
「確かに汐里は魅力的な人かも知れませんね。それに私が一緒にいると楽しそうというより、汐里がわたしの反応を楽しむためにからかっているが正しい表現だと思います。しかし私は私に構って欲しそうにしている小動物のほうがかわいらしいと思っているんですよ」
「それって……嘘ですよね……わたし今、からかわれてます?」
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