12.アイス先輩はあまくない。

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顔の熱がどんどんと上がっていく。頭の中が混乱して、杏也(きょうや)先輩の言葉がうまく理解できない。心臓がもうもたないよ。爆発したら杏也先輩への想いも一緒に爆発しそう。心の奥にかぎをかけて閉まったはずの想いが杏也先輩の言葉で意図も簡単にあふれだしそう。もうかぎはとっくに壊されていたんだから。 「いわないと伝わりませんか?」 「聞きたいです……」 「私はどうやらあなたのことが放っておけないみたいです」 「えっ?」 どういう意味?放っておけないってそれはつまりどういうことなの? 「なんて顔してるんですか?これでも私だって緊張しているし、どうしたらいいかわからないんですよ。こんな気持ち初めてなんですから」 こんなに余裕のない杏也先輩を初めて見た。なんだか胸がギュッてなってくすぐったい。この感覚がきっと愛しいなんだ。 「それでも杏也先輩の口からちゃんと聞きたいです。だってわたしだって……」 「待ってください!私にちゃんといわせてください」 わたしがなにをいおうとしたのか察したようにわたしの言葉を止めると、いつものムッとしたような顔から表情をやわらげて、微笑みを浮かべながらわたしを見つめる。 「私はあなたが好きです。付き合ってもらえますか?」 「……はい」 嘘みたい。杏也先輩もわたしを好きでいてくれた。夢なんじゃないかなって杏也先輩をじっと見つめていると、校庭では打ち上げ花火をあげるカウントダウンが始まっていた。 「花火があがるみたいですよ。一緒に観ませんか?」 「観たいです」 ふわりと笑うと杏也先輩が歩きだすから、追いかけるようにして後ろについていく。
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