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「ですから、私を副会長から引きずりおろそうとする動きがあると告発する紙が生徒会の意見箱の中に入っていたんです。だから学校の中を見回りながら少しでも怪しい動きをするものを探していたらあなたにたどり着いたんですよ」
そんなことが起きているとは知らずに那砂先輩たちの周辺を調べていたなんて。疑われても仕方がないと自分にあきれてため息をつく。
「もしかして違うんですか?」
「違い、ます」
「そんな……」
「やっぱり違うんだよね?オレは最初から違うと思っていたよ」
「調子いいですね。あなたは黙っていてください」
「なんだよ!それならオレは花澄ちゃんの味方をするよ」
花澄ちゃん!?下の名前で拓梅先輩に呼ばれてドキリと心臓が音を立てる。
「勝手にどうぞ」
「勝手にどうぞするよ」
杏也先輩に言い返すと、拓梅先輩が立ち上がりわたしの後ろで足を止める。後ろから肩をポンとされたから思わずビクッとしてさらに心臓の音がはやくなっていく。
「勘違いだったんだからちゃんと謝りなよね」
わたしの隣の席に座りながら拓梅先輩が杏也先輩を問いただしている。感情を押し込むように苦い顔をする杏也先輩の口から空気を吸う音がした。きっと謝ってくれようとしているんだろうけど、目的は違くても怪しい動きをしていたのは確かだ。
「すみませんでした」
杏也先輩に謝られる前に自分から謝ろうと思って頭を下げる。
「怪しい動きをしていたのは本当です。だからごめんなさい。でも副会長から引きずりおろそうとは思っていません。それは本当です」
「ではなんのために?」
「それは……」
「わかった。もしかしてオレのファンの子かな?」
「よくも恥ずかし気もなく自分でいえますね」
「それなら先にいってくれればいいのに」
わたしの手を取ってにこにことまぶしいくらいの笑顔を向けながら握手をしてくる拓梅先輩にどうしたらいいかわからず苦笑いする。
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