2.ある疑惑と復活の条件

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強烈な言葉と一緒に杏也(きょうや)先輩の冷めた目がわたしを射抜く。 「そんなことないよ。オレは応援しているからね」 「ありがとう、ございます」 「せいぜい頑張ってください。私も応援していますよ」 感情のこもっていない杏也先輩の言葉に勢いよく立ち上がる。 「絶対に頑張ります!あなたを見返してみせます」 「ふっ、楽しみですね」 「楽しみにしていてください!」 生徒会室を後にしようとするわたしを杏也先輩が呼び止める。 「待ってください。一応『空ノ音(そらのね)の先に夢がある』の台本の原本を渡しておきます」 差し出された台本を受け取る。表紙が少しボロボロになっていて、ページをめくると紙が所々茶色に変色している。代々受け継がれた歴史を感じることができて胸の真ん中が温かくなっていく。宝物を包むようにやさしく握りしめた。 「生徒会で大切に保管するよりあなたが持っていた方がいいですからね」 杏也先輩の突然のやさしい言葉に目を見開いて驚いてしまったけど、杏也先輩も本当は応援してくれているのかもしれないと思い直して「はい」と素直に返事をした。 「せいぜい無駄にならないように願っていますよ」 素直に喜んだ自分に喜ぶのは早いと教えてあげたくなる言葉にムッとする。 「願われなくても大丈夫です。失礼しました」 勢いよく生徒会室の扉を開けると、ムッとした顔のまま頭を下げる。 「困ったことがあったらいつでもオレに相談してね」 「拓梅(たくみ)先輩。ありがとうございます」 顔を上げると拓梅先輩が手を振ってくれているから拓梅先輩にぺこりと頭を下げる。笑顔を作る拓梅先輩とは反対に冷めた目でわたしを見る杏也先輩の眼差しがわたしに対する挑戦状に見えてムッとした顔を杏也先輩に返すと、扉を思いっきり閉めた。絶対に杏也先輩の思い通りになんかならないんだから!台本を握る手に力をこめて生徒会室を後にした。
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