3.困らせたいワケじゃない

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「わかりました。ちゃんと考えます」 しばらく考えるわたしにあきれたようにため息をつくと、杏也(きょうや)先輩が口を開く。 「倉庫になっている教室を部室として使うにはまずなにをしなくてはいけないと思いますか?」 「んっ~掃除とか?」 「そうですよ。なぜ初めにその発想が出てこないんですか」 「すみません」 「オレもでてこなかった」 「あなたは黙ってください」 「はーい」 「ひとりでやるには大変かもしれませんがしっかり掃除してくださいね」 「わかりました。頑張ります」 もしかして杏也先輩はわたしが掃除をちゃんと出来ないって思っているのかな?それともおおげさにいってるとか?部室として使わせてもらえるんだからしっかりと掃除しないと。 「それと、手にあるものを持ってきたんじゃないんですか?」 「えっ?これは……ち、違います」 慌てて後ろに隠そうとしたのに、隠すよりも先にポスターを杏也先輩に取られてしまう。 「それは!?」 「演劇部の部員募集のポスターですね……っ」 杏也先輩のポスターを持つ手が震えだしたと思ったら後ろを向いてしまう。 「あの……」 杏也先輩が背中を向けたまま肩を震わせているからもしかして……笑ってる? 「ちっ……ちなみに聞きたいのですが……これは未確認生物……ぷっ。ですか?」 笑いをこらえるみたいに声が震えているし、ぷって笑っちゃったらもう杏也先輩が笑うのを必死にこらえているとしか思えなくなる。 「違いますよ。妖精です」 「よぅ……せぃ」 口元を手で抑えると一層杏也先輩の肩が小刻みに震える。 「きょーが笑いをこらえてる!」 拓梅(たくみ)先輩が目を見開きながら珍しいものが見れたと驚いている。 「杏也先輩でふたり目ですよ。妖精を未確認生物っていったのは」 「私のほかにも……」 肩を震わせながらも生徒会の許可印を押すと、咳払いして呼吸を整えてからわたしに向き直る。
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