6.アイス先輩はわたしのストーカーですか?

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「それじゃ。みんな集まったから部活動合同学園祭会議を始めます。学園祭実行委員長は那砂拓梅(なずなたくみ)です。よろしくお願いします」 ホワイトボードの前に全生徒会のメンバーが座っている。もちろん汐里(しおり)先輩も杏也(きょうや)先輩の隣に座ってパソコンに何かを打ち込んでいる杏也先輩に資料をめくってサポートをしている。杏也先輩の隣には拓梅先輩。その隣には見慣れない人が座っていた。 「そして学園祭実行委員の副委員長は映像部部長の阿左美(あざみ)ユウ先輩です」 拓梅先輩に紹介されて阿左美先輩が席を立つと、周りから声にならない声がこぼれる。 「副委員長なんてがらじゃないけど精一杯、委員長をサポートしたいと思います。よろしくお願いします」 歓声と共に拍手が上がる。スラッと背が高くてモデルのようにカッコいい先輩をみんなが見とれている。 阿左美(あざみ)ユウ……そうだ。聞いたことあると思ったら癒し系王子と呼ばれている3年生の阿左美ユウ先輩だ。わたし達1年生の間でも噂になっているし、拓梅先輩が入学する前までは学園でいちばん人気があったと聞いている。 副委員長として申し分ないけど、杏也先輩でないことに少し驚いた。 「学園祭は生徒会主催だから生徒会としても全メンバーでサポートしていきます」 杏也先輩と汐里先輩が同時におじぎをする。 「生徒会がサポートしてくれるなんて心強いな。今年の学園祭もたくさん盛り上がっていこう」 士気を高めるような阿左美先輩の言葉でみんなが盛り上がっている中、話をちゃんと聞いているのか、自分の仕事に集中して聞こえていないのかわからないけど、杏也先輩がひたすらパソコンのキーボードを叩いて阿左美先輩の言葉に反応していない。そんな杏也先輩を阿左美先輩は苦笑いしながら見ていた。 議題は学園祭当日の体育館使用による上演スケジュールについてだった。学園祭は2日間行われる。その中で午前、昼、午後と3つの時間帯に分けられてそれぞれの部が披露する。 「総合アクター部は機材の搬入の関係と、いちばん人気のある部活ということでより集客を見込めるから学園祭最終日に上演がすでに決まっています。だからほかの部活はそれ以外の時間帯で希望を出してください。希望が重なったら話し合い。それでも決まらなかったら多数決で決めます」
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