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演劇部復活のためにわたしがしなくてはいけない目標ができた。それは生徒会の会長、副会長でもある那砂兄弟の性格を把握すること。そのためには観察して分析すること。演劇部復活のための一歩をわたしは踏み出した。
双子の兄弟でもあり生徒会の会長、副会長でもある那砂先輩たちは学園でも有名人だから情報集めに苦労することはなかった。なぜなら兄でもあり会長の拓梅先輩はファンクラブがあるほど女子に人気があるからわたしと同じ1年生の間でも拓梅先輩に憧れている女子は多い。
逆に弟でもあり副会長の杏也先輩はクールな性格と物事を的確にストレートに発言してしまう性格から、一部の生徒からは疎まれる存在みたいで、いいかたは悪いけど敵を多く抱えているみたい。同じ双子でもまったく性格は反対みたいだ。やっぱり凪彩ちゃんがいうように杏也先輩のほうが手強い気がしてきた。
眉を寄せながら朝から難しい顔をしながら登校していると、学校が近づくにつれて明るい声が聞こえてくる。
「おはようございます。拓梅先輩」
「おはよう」
拓梅先輩があいさつを返しただけでキャーッと悲鳴が響く。それに比べて杏也先輩は風紀委員と腕に腕章をつけた人の隣に立って目を光らせているみたいだ。今月は新入生のわたし達が入学したこともあって身だしなみ月間になっている。だから風紀委員と一緒に杏也先輩も服装の乱れがないかと、鋭い眼差しを向けている。
「そこの人、シャツのボタンは上までしっかり止めてください」
「えーっ、首苦しいじゃん」
「だからといって胸元を開けすぎですよ」
「見ないでもらえますか」
なにやら女子生徒と杏也先輩がいい合いになっているみたいで人だかりができている。
「見られたくなければ閉めればいいのでは。私は見たくありませんけど」
「はぁっ?」
「ふたりともストーップ!」
今にも杏也先輩につかみかかりそうな女子生徒と、相手にもしていないという感じで手元に持っているバインダーになにかを書き込んでいる杏也先輩の間に拓梅先輩が止めに入る。
「今月は身だしなみ月間なんだ。だから協力してくれたらうれしいな」
顔の前で両手を合わせて拓梅先輩がお願いポーズをする。
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