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人間の戦争をアンドロイドが肩代わりするようになって、幾星霜経ったのだろう。
アンドロイド破壊特化型アンドロイドDIANA-141は、夜の街を歩いていた。
もう大規模な戦闘は行われない。今の主流はアンドロイド同士による、ゲリラ戦だ。
内部サーチが反応した途端、目の前に少女型のアンドロイドが現れていた。
同じ顔。同じ体。
ためらいが頭をかすめた瞬間、レーザー銃で左腕を撃たれる。
DIANA-141は続く攻撃を跳躍して避けながら、右手でレーザー銃を抜き放つ。敵の攻撃をかいくぐりながらレーザーを頭に貫通させて、敵を仕留めた。
倒れたアンドロイドは、ばちばちと電気を放っている。
「…………」
言葉もなく見下ろし、DIANA-141は念のためにもう一度頭にレーザーを放った。
基地に戻ると、茶髪の青年と赤毛の女性が出迎えてくれた。どちらも白衣に身を包んでいる。
「おかえり、DIANA-141。おや、怪我をしているじゃないか」
青年博士ルユテは心配そうにDIANA-141に駆け寄り、同じく博士である女性ネミは腕を組んで眉をひそめているだけだ。
「早速、治療を。治療室に行って」
「はい」
ルユテの言葉に応答して、DIANA-141は言われたとおりに治療室に向かった。治療室には、アンドロイド治療用の機械だけがある。
その無機質な空間にホッとして、DIANA-141は診療台に横たわる。
左腕の欠損。そう重傷というわけではない。パーツを取り替えればいいだけだ。
だが、同じ顔の――同じ型のアンドロイドを殺したという事実が、DIANA-141を苛んでいた。機械に心はないのに、じくじくと胸が痛むのはどうしてだろう。
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