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うん。じゃあ……そうねえ、じゃあこんなお話をしてあげるわ。
昔々あるところに、一人の泣き虫な女の子がいたの。
その子はとても臆病で、ちょっと転んではすぐ泣いて、ちょっとテストが悪かったらやっぱり泣いて。そのせいか、その子が参加すると、学校の行事はみーんな雨。そう、その女の子はいわゆる“雨女”というものであったのよね。
小学校の入学式も、運動会も、みんな雨ばっかり。
その子が休むと、何故だか晴れる。みんなも女の子が雨女であることに気がついてね。林間学校の前に、いじめっ子達がこんなことを言ったのよ。
『ちょっとあんた!林間学校に来るのやめてくれる?山登りもキャンプファイヤーも、みんな雨になっちゃったら困るから!!』
女の子は、またしても泣いちゃったのよね。雨女と言われてるけど、何も本人が望んで雨を降らせているわけじゃないんだもの。
その林間学校を行う場所は、なんといっても夜のキャンプファイヤーをみんな楽しみにしててね。星がとても綺麗に見えることでも有名だったの。だから、絶対に晴れて欲しい子供達がたくさんいたのでしょうね。
でも、楽しみにしているのは、女の子も同じ。
どうして雨女だからというだけで、林間学校に来るな!なんていじめられなくてはいけないのかしら。でも、泣いてばかりの女の子は、いじめっ子達に言い返す勇気もなかったのよね。
そうしたら、一人の男の子が、その女の子を庇ってくれたのよ。
『確かにこいつが来ると雨が降ることが多いけど、こいつは神様じゃない。自分で雨降らせてるわけじゃないのに、責めるなんておかしいだろ!俺が晴れ男だから絶対林間学校を晴れにしてやる!だから、こいつに休めとか言うなよな!』
その男の子が参加すると、確かに晴れになることがとても多かったのよ。
でも、実は女の子と男の子は、ほとんど同じ行事に参加してなかったの。男の子は転校生だったから入学式にはいなかったし、身体が弱かったから学校を休んで行事に参加できないことが多かったのよね。
だから、今回の林間学校も、男の子は参加できないかもしれないと言われていた矢先だったの。みんなは驚いたけれど、男の子が“自分が絶対に晴れにする!”と言い張るから、それをひとまず信じてあげようってことになったのよね。
女の子がお礼を言うと、男の子は泣いている女の子の頭を撫でてこう言ったの。
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