大丈夫、きっと叶うから

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(1) 「まるでこの世の終わりみたい」 それを聞いてふたりはひどく驚いていた。 「いやいや……もっと別の表現にしよーよ」 「そーだよ友梨(ゆり)、そんなこと言ったらお星様が可哀想だよー」 彼女たちは私を見ながら交互に笑っていた。親友のふたりから同意を得ることが出来なかった私は若干ムスッとしながらレジャーシートを広げた。 8月12日の夜から翌日13日の未明にかけて、ペルセウス座流星群が出現のピークを迎えるらしい。お盆真っ只中、家に居なさいという親たちの忠告を無視して私たち三人は学校の屋上に侵入した。高校生最後の夏、大人とは一分一秒の重みが全然違う。何か最高の思い出が作りたくて思い付いたひとつが天体観測だった。 「あっ! また流れた!」 その声に釣られて私は空を見上げた。ひとつ、ふたつと、真っ黒な夜空に真っ白な線が次々に引かれていく。その光景はまさに星降る夜だった。
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