大丈夫、きっと叶うから

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「待ってて!」 「え……?」 七海は持っていた封筒を私に託しながら微笑んだ。 「その願い、絶対叶うから! 信じ続ければ絶対に!」 七海は終始笑顔だったが、何故かその表情は全然晴れやかなものに見えなくて、私は少し不気味に感じてしまった。それに彼女の発した言葉が全く頭の中に入って来ない。 "絶対叶うから" その根拠は何処から湧いて来るのか? 私には読めなかった。 七海は不自然な笑顔を浮かべたまま非常口の方向へ走っていった。 「ちょっと……どこ行くの?」 「彩花の様子見ー!」 私の質問は彼女の足を止めない。ヒラリとスカートを棚引かせながら彼女は走り去っていく。その姿は流れ星さながらだった。
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