第三話 アクナキ戦いの巻

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「「さいしょはグー!」」 何やら賑やかな声がする。 近寄ってみると、タカくんとユイちゃんが向かい合って手を出し合っていた。 「じゃんけん、」 「いんじゃん、」 握った手を一緒に振って、声まで揃えてる。 なんだかんだ言っても仲がいいのよね、この二人。 「「ほいっ」」 ユイちゃんは開いた手のひら、タカくんは握りこぶし。 「やった、うちの勝ちや!」 「負けた……」 ユイちゃんは両手を上げて大喜び。反対に、タカくんはガックリ肩を落としてる。 あたしにはよく分からないけど、タカくんのガックリした顔なんて珍しくもなんともない。 でもあんまりにもしょげてるタカくんがかわいそうだから、「ドンマイ」って声をかけてあげた。 「エトォォォ~、おまえは優しいなぁ」 「ちょっと!それじゃうちが優しくないみたいやんか」 ユイちゃんにギロっと睨まれたタカくんは、「そ、そんなこと言ってないでしょ……」とたじろいだ。 口は災いの元。気を付けようね、タカくん。 タカくんに抱き上げられたあたしは、彼を見上げながらそう思った。 「じゃあ最後の一個はうちが貰うで」 「くぅ~、頂き物の高級アイス~~……すごく美味しかったのになぁ……」 どうやらアイスの最後の一個を賭けた勝負だったみたいね。 ユイちゃんがせっせとスプーンを口に運ぶのを、タカくんがすごく羨ましそうに見てる。 「もう……しゃあないなぁ。はい、一口だけよ?」 ユイちゃんがアイスの乗ったスプーンをタカくんに差し出した。 「やった!ユイちゃんありがとう!」 タカくんがそれにパクリと食いついた。 タカくん、とっても嬉しそう。 良かったわね、タカくん。
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