第三話 アクナキ戦いの巻

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*** 「「さいしょはグー!」」 大きな声にぴくっと耳が反応した。 ヒトがせっかくイイキモチで寝てたって言うのに…… 「じゃんけん、」 「いんじゃん、」 あの二人、またやってる。 どうせタカくんがまた負けるんでしょ? べつに見てたいわけじゃないのに、あたしの目が勝手に動く手を追ってしまう。 「「ほいっ」」 「おぉっ!」 「もう~、負けてしもたやんか~」 あれ?珍しくユイちゃんが悔しがってる。 「今日はうちが風呂掃除当番か~。でも負けたもんはしゃあないなぁ……」 どうやら今回はお風呂掃除を決める勝負だったみたい。 渋々立ち上がったユイちゃんが「あっ、」と何かを思い出したように言った。 「そうや。軟膏塗るの忘れとったわ」 「どうかしたの?」 「いや、たいしたことあれへんのやけど、さっきちょっと手ぇヤケドしてな……」 「え、そうなの?大丈夫?」 「うん。すぐ冷やしたから水ぶくれにはなってないねんけどな?まだちょっとヒリヒリすんねん」 「そっかぁ。ちゃんと軟膏塗らないとね」 「すぐ塗るわ。……あっ!」 「まだ何かあった?」 「今軟膏塗っても、風呂掃除ですぐ取れてしまうやんなぁ……」 「本当だ。じゃあ僕が風呂掃除やっておくよ」 「本当!?助かるわぁ。おおきにな、タカくん」 「ユイちゃんの手に、ヤケドの跡が残ったらいけないからね」 タカくんってば優しいのね♡ でも、それなら最初からタカくんがやってあげれば良かったんじゃない? そしたらあたしの安眠も守られたのに! もうタカくんったら!気が利かないったらないわ!
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