第二話 いいニオイの巻

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なんか、いいニオイ…… 鼻が勝手にひくひく動いて目が覚めた。 いつものお散歩から帰ってきて、おひさまたっぷりの窓辺でお昼寝していたのに。 仕方ないから起き上がって、「うーん」と伸びをしてから、ニオイの方へ足を向けた。 ニオイの元を辿って行ったらキッチンに着いた。ユイちゃんが何かしている。 「あ、エト。起きたん?ごはん、もうちょっと待っててや」 あたしに気付いたゆいちゃんはそう言ったけど、より一層濃いニオイにお腹がぐ~って鳴って、あたしはたまらずにユイちゃんの足にすり寄った。 「やだ、危ないねん、エト。うーん……じゃあちょっとだけおやつあげるから、いい子にしててや」 やったこれ大好き♡ ユイちゃんがくれたチーズを夢中で食べたあたしは、おとなしく少し離れたところから、彼女を見ていることにした。 「にんにく、玉ねぎ、人参、セロリ、……マッシュルームも炒めたし。よし。あとはさっきの牛肉を戻して、と」 スマホを見ながらなにやら唱えたユイちゃんが、今度は冷蔵庫から何かを取り出した。 プシュッという音をさせてそれを開けると、彼女はそれを鍋の中にドボドボと入れていく。 「これでよし、やな」 ユイちゃんが鍋をかき混ぜながら、ふんふん~♪と楽しそうに鼻歌を歌っている。ご機嫌な時のユイちゃんの癖だ。 「次はあっちやね」 そう言ってまた冷蔵庫を開けて、なにやら次から次へと出している。 ジャーッと水が出る音や、何かを切る包丁の音を聞いているうちに、またうとうとと眠ってしまった。
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