Side.Syouta

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Side.Syouta

 浩貴への思いが恋愛感情であるという事に気付いてから、翔多にはとても気になっている事があった。  それは、浩貴にセックスの経験があるのか? という事だ。  ……浩貴はかっこいいし、モテるからなー。  自分の恋人ながら本当に浩貴はかっこいいと思う。  切れ長の目(ああいうのを涼しげな目っていうんだろうなー)は、普段は優しげな光を湛えていて穏やかだが、一度怒ると射る様に鋭くなり、そういうところも堪らなく魅力的だ。  そして、すっと鼻梁の通った形のいい鼻、少し薄めの唇はセックスアピールに富んでいる。  髪は翔多よりも少し暗いブラウン。  色白の端正な顔立ちは誰が見ても非の打ちどころがない。  だが、浩貴がモテるのはルックスの為だけじゃなく、優しさもその一因だ。  彼は本当に優しい。  博愛主義者とまではいかないが、誰に対しても自然に優しくできる、そういうヤツなのだ。  しかし、自分の意見ははっきりと言うし、他人の意見もちゃんと聞き、尊重すべきところは尊重する。  浩貴が性別を問わずに好かれるのはまさに当然といえる。  浩貴のそういう人間性はいわゆる天性で、そういう相手を恋人に持てる翔多は本当に幸せ者だと思う。  ―――でも、女の子は浩貴の優しさを誤解するんだよねー。  さっきも言ったように浩貴は誰にでも優しい。だから、女の子は浩貴に恋をして、そして、彼の優しさを自分への好意と思い込むのだ。  翔多は中学の頃から浩貴とつるんでいるが、そういうシチュエーションを多々見て来た。  周囲では、浩貴は経験豊富みたいに噂しているが、彼の性格から考えても、好奇心や遊びで“そういうコト”をできる男ではないのは翔多が一番よく分かってるので、決して、そのテの経験が豊富であるとは思わない。  だが、何人かの女の子と付き合った経験がある事も知っている。  ……その彼女たちとはいったい何処まで仲が進んだのだろう?    いったんそう言うことを考え出してしまうと、翔多の胸は針で刺したように痛み、底なし沼のように気分がブルーになってしまう。
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