72人が本棚に入れています
本棚に追加
浩貴と一緒にスーパーで買い物をして、美味しいと評判の洋菓子屋さんでイチゴのショートケーキを二つ買い、翔多の下宿先に帰って来た。
せっかくだから晩御飯は二人でなにか(失敗しない物を)作ろうということに決まり、ビーフシチューとシーザーサラダという献立になった。
浩貴は男所帯の為、時々料理も作るみたいで、手際よく野菜を切ったり肉を炒めたりしている。
かたや翔多はというと、料理なんて学校の調理実習でしかした事がないし、おまけに翔多は包丁が怖いので、本当に大したことはできない。
でも、二人で食事の支度をするのは新婚夫婦(どちらが夫で、どちらが妻かはあえて考えない様にして)みたいで楽しく幸せだった。
出来上がった料理もすごく美味しくて、翔多は包丁も握れないくせに、真剣に自分たちはシェフの才能があるのではないか、と思ったほどだ。
浩貴に言わせてみれば、シチューのルウもサラダのドレッシングも市販の物を使っているのでそれなりの味は保障されてる筈、という事だが。
でも、そういう浩貴も、とても美味しそうに食べてたし、それにとても幸せそうだった。
……なんかオレたちってホント愛し合ってるんだなー。
なーんて、くすぐったい事を考えてるうちにも時間は過ぎて行き、夜が近づいて来る。
段々、翔多は落ち着かない気持ちになって来て。
浩貴もまた緊張しているのか、いつもの浩貴らしくなくどこかソワソワしている。
……俺たち、今夜、ほんとに……しちゃうのかな……?
「―――浩貴、はい、これ。着替え」
ドキドキしている胸を必死になだめつつ、翔多は浩貴に買い置きの新しい下着とパジャマ代わりのTシャツとスエットを渡す。
「サンキュ。じゃ、先に風呂使わせて貰うな」
いつもよりぎこちない笑みを浮かべて、浩貴が風呂場へと向かった。
浩貴が翔多の下宿先に泊まりに来るのは勿論初めてではないので、お風呂を使うのも初めてではない。
でも、いつも、伯父さんも伯母さんもいた。
……今夜は確かになにかが違う。
その意味を考えると、翔多のドキドキは更に激しくなった。
最初のコメントを投稿しよう!