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周囲から、浩貴は経験豊富みたいに思われているみたいだが、実はHの経験はない。
何人かの女の子と付き合った事はあるが、一番深い付き合いで、ディープキスをして服の上から胸を触る、そこまで止まりだ。
翔多はどうだろう? と、時々考える。
翔多が女と……なんて想像するのも嫌だが、彼も多分Hの経験はないだろう。
まあキスくらいはした事あるかもしれないが、本音を言うとそれさえも嫌である。
翔多は黙っているとモデルか芸能人かというくらいの美少年だ。
実際、翔多はモテる。特に他校の女子に。
この“他校”というところが実に翔多らしいというか、翔多は顔と性格にギャップがありすぎるのだ。
浩貴にしてみればそれは彼の魅力の一つなのだが、女の子はそうは思わないらしい。
その綺麗な顔立ちだけを見て、彼を自分の中で勝手に理想化する。例えば“クールで物静かで王子さまみたいな人”という具合に。
だが、決して翔多は物静かでなどなく、子供っぽくて、いつもふざけた口調で騒ぐ超能天気なお気楽者だ。
だから、同じクラスの女子や少しでもその人となりを知る女の子は恋愛対象というより友情を感じるらしい。
楽しくお喋りできる男友だち。
学校の事情通の女子に言わせると、翔多はそういう位置にいるのだそうだ。
ただ、何回見ても翔多の美貌にはドキッとさせられるらしいが。
男子生徒も例外ではなく、彼の綺麗な顔立ちはやっぱり少し心臓にくるらしい。
それは浩貴もよーく分かる。
翔多の顔は非の打ちどころがなく、美少年というのは勿論、美少女という形容を使ってもぴったりくるからだ。
本当に罪な奴……。
目の前でいつになく妖しく微笑む恋人を前に浩貴は切なく高鳴る胸を抑えることができなかった。
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