蜂蜜レモンとチョコケーキ

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ーー小学生の頃を思い出していた。 俺は宮藤春陽。 長男の俺はガキの頃からチヤホヤされて育っていた。 すぐ褒める両親、すぐ調子乗る俺。 否定しない両親、自分は凄いと思ってた俺。 小学生になったある日、ふと家の中で広辞苑を見つけた。勿論何か分からなかったが、太い本だと思い何が書いてあるんだろうって気になったのだ。 漢字を習い始めたばかり、ひらがなは読める。 そんな当時、全く読めない漢字とひらがながセットになってるのを見て、これはこう読むのか!って何故か凄く楽しくなった。 …もちろん言葉の意味は分からない。 夢中で読んでる俺を、親バカ両親が見たらどう思うだろうか。 「「この子は天才なのかも!」」 そして俺は、そんな親の思考を知らず、唯々記号みたいに漢字の読み仮名を調べるのにハマりすぎて、 「漢字とよみがなが書いてある図鑑が欲しい」 と要求していた。 学校の授業が進む中、 俺は国語の授業が退屈に感じた。理由はひとつだけ、漢字が読めるのだ。 だから俺は親に内緒でサボったり、寝たり、授業中違う事したりして、ほぼ聞いていなかった。 "漢字も読める。 言葉だって普通に友達や親、先生とも話してる。 国語の授業は必要ない!" そんな謎の強い意志、俗に言うプライドが芽生えてしまったら最後、小学校を卒業するまで意地になっていたのだ。 …そう、途中から少し不安を覚えたのにも関わらず、見てみぬふりして。 結論から言うと、俺は凄くおバカである。 土台がない俺の国語力は人をダメにした。 毎回全て、ってわけじゃないけどたまに感じるのが ー文章の意味がわからない ー相手の言葉の意味がわからない ー意図が分からないから空気が読めない 自信なくしてからは、会話が怖くなって。 言葉が詰まったり、コミュ症っていわれるやつ。 テスト問題の文章を読んでも、意味がわからなくて答えが書けない。国語の長文読解なんか、ほんとよくわかんない。本読めない。漫画ならわかりやすい。 文章読めるのに、意味がわからないってこと。 プライドが邪魔して、長い間親には言えなかった。 親にバレたくない気持ちで漢字だけ勉強してた。 だから親は俺のことすごく頭いいってずっと信じてた。
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