蜂蜜レモンとチョコケーキ

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ーーー そう、これがきっかけ。 毎週話すようになって、重ねるたびに外出して遊びに行くようにもなって。 慣れないとコミュ症全開の俺だったけど、今やバカ全開の素で話せるようになってた。 あれから1年経ち、俺たちは2年生。冬開けたら3年。 いい奴なんだ。犀椰。 空気読めないこと言っても、それを誤魔化さずに言ってくれんの。意味ちらげー!とか言いながら笑って。 他の人ならきっとイライラさせちゃう。 けど話終わるまで全部聞いてくれるし、その上でその意味だけどーってフォロー入れてくれるし。 勝手に親友みたいに思ってる。 犀椰も思ってくれたらいいけど。分かんない。向こうは友達いっぱいいるし。 先月、サッカー部の試合があるって言ってたから俺応援1人で行ったんだ。 ずっと見たいって思ってたけど、ぼっちで応援行くって中々勇気持てなくて。でも犀椰のサッカー部としての活動も終わりが見えてきたって言ってたの思い出してさ、行くしかないって。 母に連絡して、何持っていくべきか聞いたら蜂蜜レモンって教えてくれたから前日にYouTubeにあった調理動画を見様見真似で作って。 当日は気合入れるために前髪を上げて。 学校行ってサッカーする犀椰を一生懸命目で追いかけたの。 ちょーカッコよかった! 他にも応援する人いたけど、端の方で俺はこっそり見てた。寒いのに汗かきながら走り回ってて、一生懸命夢中になってる姿は本当かっこよかった。 試合が終わったあと直ぐに、犀椰は端にいる俺のとこまで来てくれた。事前に行くって言ってなかったから俺的にサプライズ。 ちょービックリした! ちょーかっこよかった! そんな声がハモって、笑って。 集合って声が聞こえてきたから、俺は蜂蜜レモンの入ったタッパー渡して、邪魔にならないように寮へ戻った。 …蜂蜜レモンは試合前に渡すほうがよかったんだと知ったのはそのあと笑いながら犀椰に言われた。 でも美味かったって言ってくれてにんまり。 また過去にトリップしてしまった。 心が現実逃避したいと叫んでる。 「ど、どういうことなんだろう。ほんとに…。」 そう、冒頭に戻る。 犀椰に呼び出されたのだ。 ノートの切れ端みたいなのが机の中に入ってて、そこには"放課後図書館に来て。待ってる。"って。 俺は過去に告白したこともされたこともない。 けど漫画で告白するシチュエーションとかは知ってる。 …気にしすぎ? でも普通の話なら普通に呼び出ししないで話せばいいよね? "待ってる。" が無駄にドキッとさせる。 他に相談できる友達はいない。 悩んだところで、無視する訳にもいかないから行くんだけど…ああ、でも心の準備くらいしたいじゃん! したところでテンパるとか言わないで。 俺はバカだけど、人の気持ちとかはちゃんとわかる。 嫌な顔、態度、嬉しい態度、つらいとき。 でも恋愛だけはわからん。さっぱりわからん。 そもそも俺は女の子が好きだと思ってた。 だから親友としか思ってなかった。 あ、犀椰は最初の頃彼女ほしーって言ってた気がする。てことは、やっぱり気にしすぎ? ずっとぐるぐる考えてたらあっという間に放課後になって、俺はもう考えるのも諦め心を無にしたまま図書館へ向かった。
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