マホウの鏡と幸せのカガミ

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「今日は無理だから、また誘って。涼子は一緒じゃないの?」 「もう、出てくるんじゃないか?」  ケンゴが出てきたショップのドアが開き、彼の妻で、私の親友の涼子が出て来て驚いた顔をしている。涼子と実際に会うのは数ヶ月ぶりだったけれど、SNSでほぼ毎日繋がっているから、何に驚いているのか分からない。 「涼子」 「え? 千鶴じゃん! 一瞬誰かと思った」 「なんだ、千鶴もデートだったか」  涼子の驚いた声と、ケンゴが面白そうに笑った声が重なった。 「え?」 「怖い顔してこっち見てる男が一人いる。アレだろ? 千鶴が言ってた年下の彼氏」 「ゔ……今ちょっと自信失くしてる真っ最中だから、年のことは言わないでほしい」 「バカねぇ、千鶴さらにキレイになってて驚いてるのに、自信持ちなさいよ」  なんと。普段から辛口の親友に褒められた。 「親友夫婦が珍しく優しい」  縋るような素振りで戯れに二人の腕を掴んだ瞬間。 「千鶴さんっ」  それまで無碍にはせず笑顔で応対していた女の子たちを置き去りにし、物凄い勢いで各務くんがこちらに向かってくる。 「えっ?」 「全力で怒られる覚悟をしろ、千鶴」  本気で楽しそうなケンゴの言葉が終わる前に、各務くんに腕を掴まれ抱き締められる。 「な、なに?」  混乱以上の混乱で、思考回路がショートしてしまった。 「誰だ? 千鶴、放してくんない」  ケンゴが各務くんにちょっかいを出し始めている。  
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