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「別れてくれないか?」
会社帰りに夕飯を食べようと待ち合わせしたカフェで彼に言われた。
「心当り、あるよね、咲」
同棲するようになって3か月に突入した私の彼は、
スマホを出すと、一枚の写真を私の眼前に晒した。
そこには、三日前、会社の創立記念パーティーの帰りに、会社の近くの路上で抱き合っているように見える私と社長の姿が映っていた。
あちゃー、と思った。
私は咳払いをして、彼の誤解を解くことにした。
「それは誤解だよ。社長が酔っぱらっていきなり抱きついてきただけで…」
「言い訳は聞かないよ。ひと月前もそうだ。同じ男だよな?」
彼は苛立ったようにスマホの画面をスクロールし違う写真を見せた。
そこには、ひと月前に行なわれた私を含めた中途採用組三人の社内歓迎会の後、社長の自家用車で家まで送ってもらっている私の姿が映っていた。
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