僕はその言葉を聞くたびにニンマリ笑う

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「彼ね、すごくおしゃれなの。センスがいいのよ」 「そうですか」 僕は相槌を打つしかなかった。 * 「彼の車、ツーシーターでね、とてもかっこいいの」 「それ、めちゃ高いですよね」 「うん。ドイツ車だし。彼に似合う女にならないとね」 あなたはそんな無理しなくても、今のままがかわいいです! と言いたいけど言えなかった。 * 「彼ね、ハンバーガーが好きなの。だから、デートはハンバーガーばっかり」 「マジですか。野菜食べてます?」 「彼、好き嫌いが多いから、いつも彼の好きなもの食べてる。彼、お肉しか食べられないの」 おい、彼氏! 高橋さんを偏食に巻き込むな! と言ってやりたいけど僕の出る幕じゃない。 * 「最近彼が忙しくて、デートが減ったの。でもね、いつも夜中まで電話してるの」 「高橋さん、疲れた顔してますよ。何時まで電話してたんですか」 「3時かな」 おい、彼氏! お前、高い車と洋服買って、デート代がねえんだろ! まったく。高橋さんはどうしてそんなやつを選ぶんだ? * 「おはよう、真壁君」 「おはようございます。ほっぺに、おいしそうなニキビができていますよ。つぶしていいですか?」 「もう、いやだ~。さっきもさんざん紗香(さやか)に吹き出物って言われたの。これは大人ニキビっていうのよ。つぶしちゃダメ」 「遅くまで電話してるからですよ。さっさと寝てしまえばいいんです」 「でもね、彼の顔、見たいじゃない?」 「まさか、ビデオ通話?」 「そうよ。彼に素顔なんて見せられないから、化粧していて……。ここだけの話、化粧したまま眠くなって、寝ちゃったりしたのもいけなかったかも」 なんですかそれ! 僕なんか、あなたの素顔が見たくてたまらないのに!
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