僕はその言葉を聞くたびにニンマリ笑う

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「私の失恋に乾杯!」 ビールジョッキがぶつかり、カチンと音を立てた。 「悔しいし、悲しいのに、なぜか気が楽になった」 当然だ。あんなに振り回されていたんだから。 「真壁君、ありがとう。君がいなかったら、修羅場になっていたかも」 僕が修羅場にしようと思ったのに、ヤツが去って行ったおかげで無事なんです。 「考えてみたらね、私、彼に合わせようとして背伸びしていたのかも」 してましたよ。無理しまくりです。毎日聞かされていたから、よくわかります。 「遅くまで電話してたから、肌がぼろぼろだし、スキンケアをする暇もなかったわ」 そうですよ。僕が入社したころのあなたの肌はもっときれいでした。 「私、絶対きれいになってやる! あいつを見返してやるんだから!」 先輩は元気を取り戻した。
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