僕はその言葉を聞くたびにニンマリ笑う

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翌日。いつも通り、僕たちは取引先回りをしなくてはならないのに……。 「高橋さん」 「あ、うん」 助手席の彼女が何もしゃべってくれない。何となく気まずい。昨日、抱きしめたから? 僕は道路沿いにあるスーパーの駐車場に車をとめた。 「高橋さん、どうかしましたか? いつもみたいにしゃべってくださいよ」 「う、うん。いつもは何も考えずにしゃべってたんだけど、今日はね、なぜか真壁君が男に見えて、何を話していいかわからないの」 「僕は最初から男です。高橋さんのこともちゃんと女として見てます」 「そうよね、そりゃそうよね。そうだそうだ」 気づいてない。地味に告白したつもりなんだけど。ま、そういうところが彼女のかわいいところだ。 あれから、彼氏とはどちらからも連絡を取っていないらしい。 普通の生活に戻り、更にいいスキンケア商品を見つけたと嬉しそうに話してくれた彼女の肌はみるみるうちに輝きを取り戻した。 「雪乃、最近キレイになったよね」 彼女の同期の瀬川紗香(せがわさやか)さん。女の目は鋭いからな。さすがだ。 「最近キレイになったね。彼氏でもできたの?」 タヌキ課長も気づいたようだ。相変わらずのセクハラギリギリ。 「高橋さん、最近、キレイになった?」 やばい! プリンスと呼ばれ、女子社員に騒がれている主任まで! もう、うかうかしていられない。 「先輩、この前、聞いてもらうはずだった話……」 「あ、ごめんね。私のせいで、後回しになってたね。今日行く?」 僕はイタリアンレストランを予約した。
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