ダイエット1-2

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ダイエット1-2

春菜のお弁当を見た二人は呆気にとられたようにぽかんとしている。 その時、クラスのお調子者の斎藤くんが春菜のお弁当を覗き込み 『大野の弁当すげぇ。男みたいだな。』とからかう。 その言葉に春菜は恥ずかしくなり、言い返すこともできず真っ赤になって俯く。 我に返った、元々正義感の強いちえみが 『何てこと言うのよ!春菜ちゃんに失礼でしょ!』と庇ってくれたが、ちえみ自身も春菜の弁当を見て驚いていたのは明らかであった。 それに、なにより斎藤の言葉に振り返ったクラスメートの中に、春菜が最近密かに気になっていた山本くんがいて、ビックリしたような顔をしていたことがショックでたまらなかった。 それまでは大好きだった母の弁当。特にハンバーグは大好物であったのだが、 この件の後春菜は全く食欲が沸かず、弁当の中身の半分も食べず蓋をしてしまった。 『もう食べないの?』『どこか具合悪いとか?』心配そうに声を掛けてくれるちえみと亜子に春菜は『ありがとう。食欲がないだけだから大丈夫だよ。』と無理に笑って答えた。
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