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ダイエット2-3
結局、春菜は楽しみにしてた林間学校を心から楽しむことができなかった。
盛り上がるクラスメートたちの手前、楽しんでる振りだけはしたが、一日目の弁当の件を引きずり、心の底から笑えずみんなで作ったカレーライスも、旅館で出た豪華な朝食もちっとも味が分からなかった。
二日間の林間学校が終わり、解散すると友人たちと別れた途端春菜からは『はぁ。』というため息が漏れた。ずっと無理に笑っていたため頬の筋肉が痛い。
まもなく家に着き、『ただいま。』と蚊の鳴くような声で呟き、玄関のドアを開ける。
リビングを覗くとパートが休みである母が呑気にテレビを見て笑っている。
ふと、気配を感じたらしい母が春菜の方を振り向く。
『春菜。帰ったならただいまくらい言いなさい。』母親の言葉に、
『言ったよ。大きな音でテレビ見てるから聞こえなかったんじゃない』春菜は不機嫌に答える。
母親は怪訝そうに『何、返った途端不機嫌だなんて。林間学校楽しくなかった?』と訪ねるが
『別に。疲れただけだよ。』
春菜は素っ気なく答えて二階の自分の部屋に上がる。
しばらくして、母親が夕食の支度をする音が聞こえてくる。
そして、30分もしないうちに
『春菜、晩御飯出来たわよ。』
と声がかかった。
正直、今は母親と顔を合わせたくない気分であったが、林間学校であまり食べなかったことでお腹が減っていた。
春菜は気が進まないながらも家族が集まる食卓に向かったのだった。
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