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ダイエット2-4
食卓には冷やし中華が乗っていた。
ハンバーグやコロッケなどがっつり系の肉料理ではなかったことに、春菜は内心ほっとしていた。
『林間学校で疲れたみたいだし、昨日からずっと気温も高いから、さっぱり食べられる麺にしたのよ。』
母親はそう言って自分も席につく。
『いただきます。』
四人揃った所で手を合わせ、
それぞれの皿にたっぷり盛られた冷やし中華を
母も父も弟も、そしてお腹が空いていた春菜もあっという間に食べ終えた。
おまけに、デザートにといって出されたプリンまで、お腹一杯平らげたのである。
疲れもあったのだろう、お腹一杯食べた後春菜はぐっすりと眠り、おかげで翌朝になると気分は大分落ち着いていた。
いつも通り朝食をとり、学校に出かける。
教室に入ると、『おはよう。』ちえみと亜子がいつも通り挨拶をしてくれ、春菜も笑顔で返した。
再び事件が起こったのは給食の時間だった。
林間学校の後だということもあり、その日は疲れが残って体調を崩し、欠席者が多かった。
そのため、給食のかきたま汁がお缶に沢山残っていた。
それを見た担任の村山先生が『おいおい、かきたま汁がこんなに残ってる。誰か食べれる奴はいないか。』と言って
『お、紺野、お前なら食べられるよな。』とよく食べる体格の良い男子たちを中心に声をかけていく。
ふと、春菜のそばを通った先生が、既に空っぽになった春菜の汁椀を見て
『お、さすが磯山。かきたま汁もう完食したんだな。お前もおかわり食べてくれないか。』と頼んできて、挙げ句の果てに
『お母さんの愛情一杯のでっかい弁当をもりもり食べてるお前ならいけるよな。』と余計な一言まで付け加えてきたのだ。
その冗談ぽい口調もあり、教室内からは笑い声があがった。
村山先生はまだ若い20代で体育会系の熱血教師。生徒と向き合い本気で笑って本気で叱る、決して悪い先生ではないのだか、デリカシーに欠けるところがある。
確かに二杯目を食べられないこともなく、春菜は先生の頼みを受け入れ、おおいに感謝されたのだが、内心は顔から火が出るほど恥ずかしかったのだ。
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