第1章:夢原石

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「全く勝手だよな…面倒だから願い事は 1~2個に絞って届けろなんて どうせ興味があったら聞いてやるって 程度なんだろう。 これだから『天使』の仕事ってヤツは…」 思わず愚痴が溢れたのを途中まで言いかけて カミルは口を両手で塞いだ。 神様はとんでもない地獄耳なのを忘れていた。 背中の白い翼がピクピク動く。 緊張したり焦ったりすると カミルはこうする癖がある。 さて気を取り直して夢原石の選別に 取り掛からなければならない。 カミルはルーペを片手に1つずつ丹念に 夢原石を観察する。 人によってその形、模様、色は様々だ。 (とが)っていたり丸かったり形は その人の性格を表している。 模様は生まれもった才能を表す。 複雑な模様の願い主は芸術的な才能が ある人が多い。 色についてはカミルもはっきり把握出来て いないが…恐らく願い主の感情を表して いるに違いない。 神様なら全て把握しているだろうが 何しろ選別の仕事だけ押し付けといて カミルには何も教えてくれないのだ。 (ほと)んど独学でこの仕事をやるしかない。
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