6人が本棚に入れています
本棚に追加
第2章:少年の願い
夜空のような深い青色に金色の粒が
斑尾に含まれた
その小さな夢原石の願い主は
ボヘミア地方に暮らす10歳の少年。
1ヶ月前に亡くなった母親にまた会いたい
というのが願い事だった。
貧しい家庭を支える為に歌いながら
リアカーを引いて行商としてミルクを
売り歩くその少年の願いを
神様に届けたいとカミルは思った。
原石のままでも充分美しいのだが
神様が手に取り願いを聞きたくなる様に
する為には原石を研磨する必要がある。
ゼンマイ式の研磨機を起動させると
歯車がカタカタ音を立てながら動く。
艶出し用のパウダーをまぶすと
カミルは青色の夢原石を回転する円盤形の
研磨版に擦り付けた。
最初のコメントを投稿しよう!