第2章:少年の願い

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第2章:少年の願い

夜空のような深い青色に金色の粒が 斑尾(まだら)に含まれた その小さな夢原石の願い主は ボヘミア地方に暮らす10歳の少年。 1ヶ月前に亡くなった母親にまた会いたい というのが願い事だった。 貧しい家庭を支える為に歌いながら リアカーを引いて行商としてミルクを 売り歩くその少年の願いを 神様に届けたいとカミルは思った。 原石(ジェムストーン)のままでも充分美しいのだが 神様が手に取り願いを聞きたくなる様に する為には原石を研磨(カット)する必要がある。 ゼンマイ式の研磨機を起動させると 歯車がカタカタ音を立てながら動く。 艶出し用のパウダーをまぶすと カミルは青色の夢原石を回転する円盤形の 研磨版に擦り付けた。
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