第2章:少年の願い

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夢原石は願い主の人生と同調(シンクロ)している。 万が一研磨で原石に(ひび)が入るような事があれば 願い主の心にも屈折した歪みが生じてしまう。 恐らく少年は幼くして母親を亡くした 自分の人生を一生涯呪う事になるだろう… しかし逆に綺麗に研磨(カット)出来れば 願い主の人生を輝かせる事も出来る。 斑尾(まだら)な模様は歌の才能がある(あかし)。 神様から与えられた才能は生まれた時から 決まっている。 それを限界まで磨く…例え神様から 見れば一瞬とも思える短い時間だったとしても 老いによる衰えと いずれ訪れる『死』を宿命とされた 人間にはそれしか出来ないのだ… だが夢原石を研磨する事でカミルは 人間の才能…いや人生を(わず)かでも輝かせる 手助けが出来る。 カミルは(はかな)い人生を懸命に生きる人間が 好きだったし、自分の仕事に誇りを持っていた
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