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涙形に研磨されたその裸石は
少年の深い哀しみを含んだ青色に金色の粒が斑尾に散りばめられ
星が輝く夜空のように美しい。
それはまるで宝石:ラピスラズリを思わせる
素晴らしい仕上がりだった。
一仕事終えたカミルは胸を撫で下ろし
工房の窓から外の景色を眺めると
急に大声を発して切り株の椅子から
立ち上がった。
「しまった…!
夜明けまでに裸石を神様に届ける約束だった。
もうすぐ朝日が昇る」
カミルは作業机の引き出しを開けて
指輪用のアクセサリーケースを取り出すと
磨かれた裸石をその中に仕舞い込み
慌てて工房から外へ出ていった。
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