6人が本棚に入れています
本棚に追加
第3章:陽はまた昇る
潮の香りが漂う海風を受けて
白い翼が海辺の夜空を羽ばたいていく。
「良かった…何とか間に合ったみたいだ。
まだ神様はいらっしゃる。」
工房近くの岩山に囲まれた入り江に
降り立ったカミルは息を切らしながら
そう呟いた。
入り江の白い砂浜から水平線に向かって
光の帯が真っ直ぐに伸びている。
その光に照らされた海水の中に
カミルが指輪用アクセサリーケースごと
磨かれた裸石を沈めると
それは打ち寄せる波にさらわれて
ゆっくりと沖へ流されていった。
最初のコメントを投稿しよう!