第3章:陽はまた昇る

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第3章:陽はまた昇る

潮の香りが漂う海風を受けて 白い翼が海辺の夜空を羽ばたいていく。 「良かった…何とか間に合ったみたいだ。 まだ神様はいらっしゃる。」 工房(アトリエ)近くの岩山に囲まれた入り江に 降り立ったカミルは息を切らしながら そう(つぶや)いた。 入り江の白い砂浜から水平線に向かって 光の(おび)が真っ直ぐに伸びている。 その光に照らされた海水の中に カミルが指輪用アクセサリーケースごと 磨かれた裸石(ルース)を沈めると それは打ち寄せる波にさらわれて ゆっくりと沖へ流されていった。
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